写真家列伝 | Photographer biography

第5回山内順仁

写真を撮っただけでは作品にはならない、
自分の手を加え新たな空間を演出する

ミュージシャンを中心にアーティストの写真やコマーシャルフォトを撮りつづける山内順仁(やまうちよりひと)。「風景写真家ではないので、わざわざ世界遺産を目的に取材に出かけたことはない。すべて雑誌の特集やレコードジャケットのロケで行った」という。それでも今までに100か所近いところを写真に収めている。

世界遺産は、もともとそれ自体が偉大な“力”をもっている。そのパワーをいかに料理するか……。「合気道のようなものです。相手の力を利用して自分の力に変える」

あらかじめ写真を想定するのではなく、たまたま出会ったものを撮り、その材料を自分なりに加工する。「現場の雲、光、風。自分を自然と一体化し」、出会ったときの直感を大事に、時の流れに身をまかせつつ、一方ではどのように料理しようかと冷静に見つめている。

そして写真家は多くの「引き出し」を開け、掛け合わせてさまざまな味をつける。「卵を産みっぱなしにしたくない。自分の手を加えることによって新たな空間を演出する」

世界遺産は、それぞれが人と自然の長い歴史を刻んでいる。観光旅行に誘うパンフレット写真はいらない、いつの時代かわからない、現在とは異なる時空に見る人を連れていきたいというのが山内の願いだ。何よりも自分自身がそこに入り込んで心地よければ人も心地よいのでは、という信念がある。現実にこの世に存在するが、実際にはどこにもない写真家のイマジネーションの世界。

一昨年、渋谷の高台に建つマンションに事務所を移転した。鳥の目を得て山内は「自然であれ人工物であれ、自分が惹かれる聖なるものを撮りたい」と思うようになった。

「世界遺産を見ていくうちにわかったのは、撮りたかったのは“パワー”なんだということ。これからはもっと身近なもの、東京でいえば六本木ヒルズや明治神宮、渋谷など、自分が感じるパワースポットにも対象を広げて撮っていく」と語る。

どんな不思議の扉が新たに開くのか、楽しみである。


■山内順仁、こだわりのフレーム

プロ職人によるハンドメイドフレーム
写真家・山内順仁氏自身が自ら制作に関わり、額色から質感まで納得いく仕上がりのオリジナルフレームや最高級イタリア製フレームを使用するなど、その高級かつ重厚な額縁は作品をより一層、際立てるようになっています。オリジナルプリントをより良くするためバランスのとれたサイズになっています。作品と額縁との調和に妥協を許しません。額縁は、デリケートな写真を様々な環境「汚染ガス・埃など」から保護出来るように考えられ、オリジナルプリントへの配慮がされています。

アクリル紫外線防止加工された2mm 厚透明色
抜きマット3mm 厚中性紙マット・表面は凹凸のある高級ワーグマン紙貼り
台紙2mm 厚中性紙マットへ中性紙コーナーで作品を固定します
裏板グリーン紙の貼られたボードを使用し、汚染ガスを発生するベニヤ板等は未使用
プレート写真家・山内順仁氏サイン入り真鍮プレートを抜きマットへ取り付け
プリント作品証明書・差箱・ヒートン・ヒモ
その他直筆サイン・エディションナンバー


PROFILE

■山内順仁(やまうち よりひと)
1959年千葉県生まれ。
東京写真専門学校商業写真科卒業、1982年武藤義氏の師事を経て23歳で事務所設立。ミュージシャンを中心にアーティストの写真やコマーシャルフォトを撮りつづける写真家。尾崎豊、小室哲哉、吉川晃司などロックミュージシャンを世に送りだし、新たなアートシーンを切り開いてきた。そんな山内はここ十数年、世界中を駆け巡り、世界遺産を独自に撮り下ろしている。