日本を代表する写真家が撮った、オリジナルプリントが手に入る
写真家列伝 | Photographer biography

第10回白川義員

地上、海上、空から挑んだ日本。4万6600か所での撮影から、白川が選りすぐった究極の美。

写真家列伝 第1回でも紹介した、「地球再発見による人間性回復へ」をテーマに撮影を続ける白川義員(しらかわよしかず)。50年で143か国を訪れた白川が、満を持して取り組んだ最新作が『永遠の日本』だ。

1969年に発表した『アルプス』に始まり、シリーズ11作目となる『永遠の日本』。白川が日本を撮りたいと思ったのは、1作目『アルプス』の撮影中だったという。しかし、めまぐるしく変化する世界情勢のなかで、〝今しか撮れない地域〟の撮影が次々に舞い込んできた。ようやく『永遠の日本』の撮影に取りかかれたのが2007年。北海道から沖縄まで、車を走らせ、船を使い、ヘリをチャーターし、撮影地は5年間で4万6600か所にも及んだ。

限られた時間を無駄にしないために、白川は撮影する前に構図を決める。例えば、学生時代から何度も登頂した剱岳は、山の形が頭の中に入っている。日の出の時刻を調べ、どの斜面に日が当たり影がどうつくかをイメージし、何時にどの位置で待機するかを決めてヘリを飛ばす。

「日の出直後は赤色が濃いのですが、コントラストが弱くて写真になりません。4、5分待つと、赤の強さとコントラストの強さが最大になる瞬間が訪れます。さらに5、6分たつと赤が抜けて、オレンジから黄色になり、急速に色彩が失われていくのです」

白川義員 | オリジナルプリント

剣岳黄変(435)

白川は、やみくもにシャッターを切り続けることはしない。そのシャッターの間の一瞬が決定的瞬間である場合が多いからだ。目の前で刻々と変化する色彩のどの一瞬を切り取るかは、経験を頼りに見極めていく。

『永遠の日本』は、「名岳」「名瀑」「湖沼」「森林・巨木」「渓谷・河川」「高原」「湿原」「海浜・島嶼」の8つのテーマで構成されている。山岳を好んで撮る白川だが、終わってみると、意外にも海浜の写真が多くなった。

「島国である日本を撮るのだから作品の構成上、海岸線も必要だろうというくらいの気持ちで撮り始めました。しかし実際に撮影してみると、波に削られた岩峰のすごさを目の当たりにし、水がこれほど壮大な彫刻を生み出せるのかと、驚かされることが多くありました。また、沖縄の海に沈む夕陽の美しさに、いつかここに住んでみるのもいいなと心動かされることもありましたね。日本の海岸線の素晴らしさに、あらためて気づかされる撮影でした」

実は白川は『永遠の日本』をシリーズ最終作、12作目に発表しようと考えていたが、11 作目に繰り上げている。その理由をこう語った。

「日本人の心のよりどころとなってきた荘厳で崇高な自然。それが人間の手で壊されつつあります。日本は世界に誇れる麗しい国であることを、今こそ再発見してもらいたいのです」

白川が撮りおろした渾身の日本。こだわりのオリジナルプリントで再現される、圧倒的な自然美を感じてほしい。

白川義員 | オリジナルプリント

新舞子浜夜明け(437)

■白川義員のこだわり

白川義員が作成するオリジナルプリントは、厳密です。

まず、銀行の地下金庫に脱酸素材とともに保管されているポジを出庫。指定した現像担当者に渡し、テストプリントを行います。古い撮影ポジの場合は、退色してしまっている場合もあります。写真が本来持っていた色合いを出すため、テストプリントは時に9度にわたる場合もあります。

そしていよいよOKプリントが出ると、これをオリジナルプリント0号とし、写真の色合いを調整する見本とします。通常は1号を白川義員所有プリントとし、色が安定したと判断する2号、あるいは3号からオリジナルプリントとしてお頒けすることになります。

前人未到の美しさ、迫力に満ちた写真を目の当たりにする、白川義員のオリジナルプリント作品。
写真の本質を楽しみたい方、本物の作品を楽しみたい方におすすめします。

PROFILE

■白川義員(しらかわ よしかず)
1935年愛媛県生まれ。
日本大学芸術学部写真学科卒。
ニッポン放送文芸部プロデューサー。 フジテレビチーフキャメラマンを経て62年よりフリー。 アルプス、ヒマラヤなど大自然に挑む写真家として世界に知られる。 1981年全米写真家協会(ASMP)最高写真家賞受賞。88年菊地寛賞、95年第27回日本芸術大賞、99年紫綬褒章など数々の賞に輝く。

公式Webサイト :
http://www.yoshikazu-shirakawa.com/


オリジナルプリントとは?

EXHIBITION INFORMATION