日本を代表する写真家が撮った、オリジナルプリントが手に入る
写真家列伝 | Photographer biography

第1回白川義員

前人未到。
それが白川義員の撮影方法。

前人未到。写真家・白川義員(しらかわよしかず)を説明するとしたら、この言葉以外ない。
内容は知らなくとも「世界百名山」という言葉を話に聞いた方は多いだろう。山岳写真家とも称される白川が世界中の名山に挑んだ、質量ともに前人未到、空前絶後のまさに鬼気迫る作品として話題になった。
写真集『世界百名山』(全3巻)は、白川にとって10作目となった『地球再発見シリーズ』の最新作でもある。
この「地球再発見の旅」は、なんと44年前にさかのぼる。

1962年、若き白川義員は、新聞社の仕事を得て、世界一周旅行に出かける。じつに38か月35か国。当時は1ドル360円の固定相場。
「日銀に外貨持ち出し許可をもらって外務省に行き、パスポート申請をするんだが、なにしろ日本にお金がないからなかなか許可が出なくて苦労したよ」
当時を白川は懐かしく語る。誰もが海外など夢の夢だったころの話だ。

38か月の取材が終わると、電報が届き、別の出版社からの仕事が入ったことを知り、そのままヨーロッパへ引き返す。帰国したのは実に6年後。東京オリンピックは、スイスで見たという。
「帰国して羽田でタクシーに乗ったら、高速で行きますかと聞かれて驚いた。オリンピックにあわせてビルの谷間を這うように高速道路ができていたんだ。浦島太郎だったね」

世界一周で「世界には想像を絶した風景があることを知った」白川は、以後42年にわたり、地球を壮大なスケールで写し取ることに没頭する。
地球は悠久無限の宇宙にあって芥子粒のごとき一点の存在だ。人類はこの一点の命である宇宙船地球号に乗り合わせていることを心底認識したら、民族紛争や国境紛争や戦争そのものが馬鹿らしくなりはしないか、そこまで思いが到るほどの写真が撮れないか──それが「地球再発見」の意味だという。そのために白川は冒頭に紹介した「前人未到」にこだわる。それは、誰もなしえなかった場所、時間に、誰も撮りえなかった写真を撮る、ということである。

白川義員 | オリジナルプリント

世界最高峰 サガルマータ(エベレスト)(015)

「世界百名山」に話を戻そう。百名山企画は、白川が長年温めていた企画だった。しかしゴーサインを出したのは1996年だ。GPSと衛星写真利用により「エベレストが世界で一番高い山であることが100%確実になった」からである。中国の国境地帯にはもっと高い山がある、K2山頂から見ると、エベレストより高い山があった……など確度は低いが噂はあった。「もし本当なら、企画はやり直しになってしまうからね」と白川は笑う。すぐにエドムント・ヒラリー卿ら世界11か国11人の選考委員会を組織、リストアップに入った。それをもとに白川は127の名山を撮影。最終的な決定を白川が行うことになった。なぜなら、名山を実際に50以上見た人間は歴史上、白川以外いないからだ。4億5000万円という巨費を投じた一大プロジェクトは、開始から実に7年目の2002年に完結した。

WePhoto(ウィフォト)で紹介する名山は、その中で白川が特に選んだものである。写真家・白川義員自らが写真のクオリティにこだわり制作したオリジナルプリントで、神々しいまでに美しい地球上の風景をお楽しみいただきたい。

■白川義員のこだわり

白川義員が作成するオリジナルプリントは、厳密です。

まず、銀行の地下金庫に脱酸素材とともに保管されているポジを出庫。指定した現像担当者に渡し、テストプリントを行います。古い撮影ポジの場合は、退色してしまっている場合もあります。写真が本来持っていた色合いを出すため、テストプリントは時に9度にわたる場合もあります。

そしていよいよOKプリントが出ると、これをオリジナルプリント0号とし、写真の色合いを調整する見本とします。通常は1号を白川義員所有プリントとし、色が安定したと判断する2号、あるいは3号からオリジナルプリントとしてお頒けすることになります。

前人未到の美しさ、迫力に満ちた写真を目の当たりにする、白川義員のオリジナルプリント作品。
写真の本質を楽しみたい方、本物の作品を楽しみたい方におすすめします。

白川義員 | オリジナルプリント

ヴィクトリア滝(401)

PROFILE

■白川義員(しらかわ よしかず)
1935年愛媛県生まれ。
日本大学芸術学部写真学科卒。
ニッポン放送文芸部プロデューサー。 フジテレビチーフキャメラマンを経て62年よりフリー。 アルプス、ヒマラヤなど大自然に挑む写真家として世界に知られる。 1981年全米写真家協会(ASMP)最高写真家賞受賞。88年菊地寛賞、95年第27回日本芸術大賞、99年紫綬褒章など数々の賞に輝く。

公式Webサイト :
http://www.yoshikazu-shirakawa.com/


オリジナルプリントとは?

EXHIBITION INFORMATION