白川義員
世界第二の高峰 K2の夜明けと月
あまりに有名な、ヒマラヤ(つまり世界)第二の高峰、K2。圧倒的な存在感で屹立するピラミッド<型の山である。イギリス統治時代の測量番号がそのまま山名になってしまったというこの山は、エベレストより登山が困難なことでも知られている。Kはカラコルム山脈の意味である。
日の出直後に東面に回りこんで、夜明けの陽光がK2だけに当たる瞬間を撮影した。パキスタン、インド、中国、ネパールの国境地帯にあり、軍事的緊張から、このような航空機撮影はこれまで許可されることはなかった。白川義員しか撮れない一枚といってよいだろう。
06年、NHKで再ドラマ化された井上靖の『氷点』は舞台をK2へ変えて撮影されたが、タイトルバックに使われたK2の空撮シーンは、白川の百名山撮影の同行取材中のものである。月と夜明けのK2の構図は、天と地、神と人の対話をを象徴するかのようだ。