白川義員
世界最高峰 サガルマータ(エベレスト)
「そこに山があるから」。名言は「なぜエベレストに登るのか?」という質問に、ジョージ・マロリーが答えたものだ。1924年、マロリーは、エベレスト登山中標高8160m付近で遭難。初登頂に成功したかどうかが、現在でも論争の種になっている。
白川義員が「世界百名山」撮影を決心したのは、エベレストが世界最高峰であることが100%確実になったときだった。もっと高い山がある、そういう噂は絶えなかったが、衛星写真とGPSの発達が、これ以上の高峰はないことを証明したのだ。「百名山を撮ってから、修正するわけにはいかないだろう?(笑)」と白川は説明する。ずっと温めていたアイデアを実現するときが来たのだった。1996年プロジェクト開始。完結は2002年である。高度8700m、酸素マスクを装着し副操縦士席の窓を開け、日の出直後の真っ赤に燃え上がる南東壁を捉える。多くの登山家たちが辿った東稜上の小ピークを見ることができる。